VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 試合開始まで、残り25分――。

 赤坂シンフォニーホテルの最上階、1泊120万円の、ロイヤルスィートルーム。

 志垣智成はその部屋に置かれた、ゆったりしたソファで、ふんぞりかえってシェリーを飲んでいた。

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 村井に指示を出し、池田にしばらく好きにして待つよう伝えたあとで、川嶋が郷原をすぐに怒鳴った。

「そうだよ! 寝てなきゃダメだ!」

 山本もすぐに川嶋の声に賛同して、どうやら悪寒がぶり返してきたらしい郷原を、寝 ...

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 ドアを出るとそこには、池田史郎が静かに座り、川嶋貢が、部下とともに待っていた。

「山本先生、助かったよ。とりあえず、これは切ってもらってあった手形だ。約束した通りの金額ぶんを返そう。あと、これは処置代30万だ。足がつくと ...

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 シュンシュンと、やかんの口から湯気が噴出す。

  さっきまで戦場のように緊迫していた空気が、だいぶやわらいでいた。

 それでも床に転がされた谷中と、縛られた池田の構図が、まだ緊張感の残滓ざんしを漂わせていた。 ...

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「星が、そう指し示している……。何かを隠すためのアイテム……。それらの販売……。山本さん、アンタが詐欺に遭ったファインメディカルだけど……」

 郷原は、ソファから身を起こして、山本のほうを向いた。

「そもそも、 ...