VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

  時刻は10時を30分回ったが、桂川興産の連中とおぼしきやつらは、まだ現れない。

 郷原は、浜崎に、自分の携帯電話を渡しておいた。それからひとり男子便所に入り、便器を一つ陣取って、ドアの外に故障中の張り紙をした。便座の蓋 ...