VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 しんと静まり返った、夜明け間際の空気――。

 空調はしてあるようでも、郷原の手の中に収まったベレッタ・M91の銃把じゅうはは、芯から冷たく凍り付いていた。

 唸うなり声がする――。さっき、どてっ腹に一発、お見 ...