第二十五話 CHAPTER8、調印(3)
郷原は、ランボルギーニに乗り込むと、遠回りしながら赤坂のシンフォニーホテルへと帰った。結局ここしか行き場がなかった。
組長が用意した部屋へ戻ると郷原は、熱いシャワーを浴びた。
(そういえば、山本のやつ、今ご ...
第二十四話 CHAPTER8、調印(2)
賭博の取り決めの書類は、以下の通りであった。
誓約書
1、志垣智成(以下 甲)は、来る12月25日 港区六本木1-○○―××にて行われる 橋爪功治 対 原口信夫のボクシングハンデ戦に ...
第二十三話 CHAPTER8、調印(1)
志垣老人の、深刻で、独特な悩みというのは、こういった内容である。志垣智成は長年、信仰に生きてきた人間だ。修験道を学び、大日如来を本尊とあがめ、宗教を日々実践して生きてきた。その宗教的カリスマで人を動かし、いつの間にか全国に信徒を50 ...
第二十二話 CHAPTER7、一夜(3)
あかり――。
深い霧の中で、懐かしい男の声がした。あかりは声のするほうへと夢中で走っていった。
(どこ……? どこにいるの? お父ちゃんっ! あたしはここにいるよっ! みんなみんな、誰も居なくなっちゃったよ ...
第二十一話 CHAPTER7、一夜(2)
「あのね、一人で飲むからそんな、アル中みたいになっちゃうんだよ。落ち込んでたり、辛いときはね、余計に一人で飲んじゃダメなの。ずぶずぶになって、そんな自分にまた嫌気が差して、それを忘れるためにまた飲んでって、繰り返しになっちゃうんだよ… ...