第十八話 CHAPTER6、対決(2)
池田がまだ厚生労働省で、法人担当課長をしていた頃――。
池田の上司だった官僚が、早期定年後に天下りとして時雨製薬の役員に就任した。その上司と池田は、かなり親密であったらしい。時雨製薬に上司が籍を移してからも、ちょくち ...
第十七話 CHAPTER6、対決(1)
ドアを出るとそこには、池田史郎が静かに座り、川嶋貢が、部下とともに待っていた。
「山本先生、助かったよ。とりあえず、これは切ってもらってあった手形だ。約束した通りの金額ぶんを返そう。あと、これは処置代30万だ。足がつくと ...
第十六話 CHAPTER5、突入(3)
その頃、新橋ダイヤモンドパレスホテルでは、川嶋がすでに待ち構えていた。田代から、郷原をどうにか回収したと報告を受けて、駆けつけてきたのである。本当は、久子も来ると言って聞かなかったのだが、まさか銃で撃たれているなどとても久子には言え ...
第十五話 CHAPTER5、突入(2)
シュンシュンと、やかんの口から湯気が噴出す。
さっきまで戦場のように緊迫していた空気が、だいぶやわらいでいた。
それでも床に転がされた谷中と、縛られた池田の構図が、まだ緊張感の残滓ざんしを漂わせていた。 ...
第十四話 CHAPTER5、突入(1)
しんと静まり返った、夜明け間際の空気――。
空調はしてあるようでも、郷原の手の中に収まったベレッタ・M91の銃把じゅうはは、芯から冷たく凍り付いていた。
唸うなり声がする――。さっき、どてっ腹に一発、お見 ...