CHAPTER6、黒い龍(2)
朝になり、田代が郷原のホテルの部屋を訪ねてみると――。
「うわぁッ!! な、なんじゃこりゃあ!!」
田代は、のけ反るほどに驚いた。郷原がブツブツと、幽霊みたいに何事かつぶやきながら、天体暦と ...
CHAPTER6、黒い龍(1)
もやのかかった砂浜――。霧にかすむ波間には、二つの大きな黒い岩……。しめ縄が巡らされている……。
郷原は、その砂浜にポツンと一人、立っていた。
誰もいない寂しい砂浜のはずなのに、強い視線を感じる……。ふと ...
CHAPTER5、実行犯・江川夏実と岸本正巳(2)
「鑑識結果が出たらしいぞ郷原。座ってくれ」と、川嶋が促し、ソファに刑事二人を通した。
郷原と川嶋がその対面の上座へ座り、田代は少し離れた簡易椅子に腰かけた。刑事たちは挨拶もそこそこで、すぐに結果報告が始まった。
CHAPTER4、ホロスコープは無効~ヴォイド~(4)
平安ファイナンスの防犯カメラの画像は、すでにクラウド化させてあったので、浜崎慎吾が自分のノートパソコンにそれを再生した。パーティーで後ろを振り向いたときの顔と、平安ファイナンスから逃げるとき、最後に後ろを振り返ったときの顔が、犯行時 ...
CHAPTER4、ホロスコープは無効~ヴォイド~(3)
急に、携帯電話の呼び出し音だ。
物思いに沈潜し過ぎていたせいか、郷原は、突然の携帯電話の着信に、大きくビクッとして、慌てて電話に出た。独自に事件の調査をしていた田代英明からであった。
田代は今、永森のとこ ...