VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 あかりが、八溝山ふもとの街の病院で手術を受け、病室に寝かされたのは、12月31日の午前4時頃だった。

 医師の話では、あと2センチも傷が上だったら、腎臓が破裂して助からなかっただろう、という話であったが、幸いなことに腎臓 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

郷原は、新橋ダイヤモンドパレスホテル近くの、土橋インターから首都高速道路に乗ると、西銀座ジャンクションから江戸橋ジャンクションを抜けて、首都高速6号向島線に入った。年末の30日だというのに、相変わらず首都高は渋滞気味でイライラした。一 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 あかりは恐怖を感じて、思わず散らかった室内を後ずさり、物陰に隠れた。

 人影はせわしなく鍵を開け、プレハブ小屋のサッシの入り口を開けると、懐中電灯で室内を見回した。

「おい、居るのか? 大丈夫か?!」 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 

 郷原は思わず刑事に掴みかかろうとしたが、田代がすかさず後ろから彼を取り押さえた。刑事は皮肉を込めて言った。

「ガールフレンドが誘拐されたのは、あなたが悪いのですよ郷原さん。最後の王朝だかなんだか知らないけ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「鑑識結果が出たらしいぞ郷原。座ってくれ」と、川嶋が促し、ソファに刑事二人を通した。

 郷原と川嶋がその対面の上座へ座り、田代は少し離れた簡易椅子に腰かけた。刑事たちは挨拶もそこそこで、すぐに結果報告が始まった。