VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 試合開始まで、残り25分――。

 赤坂シンフォニーホテルの最上階、1泊120万円の、ロイヤルスィートルーム。

 志垣智成はその部屋に置かれた、ゆったりしたソファで、ふんぞりかえってシェリーを飲んでいた。

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 首都高の高架が、六本木通りと平行に、どこまでも伸びていた。 

 東京メトロ “六本木駅” を降りて、麻布方向へとしばし歩く。

 騒がしい交通と、人いきれを渡り、六本木らしい煌びやかな通りから、やや奥

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 パァァァ……ン――!!!

 鼓膜が張り裂けそうなほどの銃声だった。たましいごと、粉々になりそうな爆発が、とたんに郷原をこの世ならざる空間にとどめていたドーパミンの分泌を、完全に止めた。

 4発目――。 ...

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「では志垣会長、ライフル銃の時限発射装置のスタートボタンを、押してください」

 志垣は、浜崎に促されるまま、観覧用のソファに座り、時限発射装置のスタートボタンを押した。じりじりと、部屋の隅に置かれた水平移動装置の上のライフ ...

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 その翌日、占い賭博当日。

 数人の男たちが、赤坂シンフォニーホテルの広々としたロイヤルスィートルームに集まり、なにやら立ち働いていた。

 室内中央には、丸いシンプルな椅子と、その椅子と一体型になっている、小さ ...