VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 金色のオーデ・マ・ピケの腕時計が、午後4時を示していた。平安ファイナンスの社長用デスクで、川嶋貢かわしまみつぐは、部下からの連絡を待っていた。

「そろそろだな……」

 呟つぶやいて川嶋は、事務の女性が淹いれて ...