VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

「本当か?」

「ああ。これならたぶん、ハメるのはわけない。簡単にすっ転ぶだろう」

「具体的には、どうしたら……?」

 川嶋は、思わず身を乗り出していた。

「そうだな……。この息子は、医者 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 金色のオーデ・マ・ピケの腕時計が、午後4時を示していた。平安ファイナンスの社長用デスクで、川嶋貢かわしまみつぐは、部下からの連絡を待っていた。

「そろそろだな……」

 呟つぶやいて川嶋は、事務の女性が淹いれて ...