VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

「あのね、一人で飲むからそんな、アル中みたいになっちゃうんだよ。落ち込んでたり、辛いときはね、余計に一人で飲んじゃダメなの。ずぶずぶになって、そんな自分にまた嫌気が差して、それを忘れるためにまた飲んでって、繰り返しになっちゃうんだよ… ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 ドアを出るとそこには、池田史郎が静かに座り、川嶋貢が、部下とともに待っていた。

「山本先生、助かったよ。とりあえず、これは切ってもらってあった手形だ。約束した通りの金額ぶんを返そう。あと、これは処置代30万だ。足がつくと ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 金色のオーデ・マ・ピケの腕時計が、午後4時を示していた。平安ファイナンスの社長用デスクで、川嶋貢かわしまみつぐは、部下からの連絡を待っていた。

「そろそろだな……」

 呟つぶやいて川嶋は、事務の女性が淹いれて ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

占星術――。

それは天上の悪徳(VICEヴァイス)。

星の巡りの名のもとにさまよう明日を占えば、

垣間見えるは果てしなき人の欲望――。

《表紙イラスト》 酒井日香

 吹き降ろ ...