VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 パァァァ……ン――!!!

 鼓膜が張り裂けそうなほどの銃声だった。たましいごと、粉々になりそうな爆発が、とたんに郷原をこの世ならざる空間にとどめていたドーパミンの分泌を、完全に止めた。

 4発目――。 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

「では志垣会長、ライフル銃の時限発射装置のスタートボタンを、押してください」

 志垣は、浜崎に促されるまま、観覧用のソファに座り、時限発射装置のスタートボタンを押した。じりじりと、部屋の隅に置かれた水平移動装置の上のライフ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 その翌日、占い賭博当日。

 数人の男たちが、赤坂シンフォニーホテルの広々としたロイヤルスィートルームに集まり、なにやら立ち働いていた。

 室内中央には、丸いシンプルな椅子と、その椅子と一体型になっている、小さ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 賭博の取り決めの書類は、以下の通りであった。

 

誓約書

1、志垣智成(以下 甲)は、来る12月25日 港区六本木1-○○―××にて行われる 橋爪功治 対 原口信夫のボクシングハンデ戦に ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 あかり――。

 深い霧の中で、懐かしい男の声がした。あかりは声のするほうへと夢中で走っていった。

(どこ……? どこにいるの? お父ちゃんっ! あたしはここにいるよっ! みんなみんな、誰も居なくなっちゃったよ ...