VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「鑑識結果が出たらしいぞ郷原。座ってくれ」と、川嶋が促し、ソファに刑事二人を通した。

 郷原と川嶋がその対面の上座へ座り、田代は少し離れた簡易椅子に腰かけた。刑事たちは挨拶もそこそこで、すぐに結果報告が始まった。

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 翌日、午後4時を過ぎて田代は、ようやく広尾の大使館で働いているという、江川夏実の過去を知る人物と会った。彼女はカリフォルニア大学ロサンゼルス校に、夏実と同じ頃留学し、夏実と同じ国際政治学部で学んでいたという。

 開口一番 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 平安ファイナンスの防犯カメラの画像は、すでにクラウド化させてあったので、浜崎慎吾が自分のノートパソコンにそれを再生した。パーティーで後ろを振り向いたときの顔と、平安ファイナンスから逃げるとき、最後に後ろを振り返ったときの顔が、犯行時 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「……どういうことですか夏実。女性を拉致するだなんて。私はそのような指示は出していません。ただ、郷原が間違いなく持っているはずの、不比等の金印を見つけ出し、ヤツに謎かけの招待状を渡せればそれでよかった」

 電話は、クリシュ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 その頃、自分の住まい代わりにしているダイヤモンドパレスホテルに戻った郷原は、すぐに深夜勤務中のフロント係に言った。

「さ、さっきの俺の電話ッ!! あの電話に応答したフロント係は誰だっ!!」

 血相を変えた郷原 ...