CHAPTER7、逃走(1)
「こうなりゃ、郷原にすぐ、こいつを引き渡すしかねぇ……」
運転手の石塚は、ハンドルを必死に押さえて言った。
「しかし、果たして、女と引き換えだったとして、郷原が来るでしょうか……? 長年、否定し続けてきたので ...
CHAPTER6、黒い龍(1)
もやのかかった砂浜――。霧にかすむ波間には、二つの大きな黒い岩……。しめ縄が巡らされている……。
郷原は、その砂浜にポツンと一人、立っていた。
誰もいない寂しい砂浜のはずなのに、強い視線を感じる……。ふと ...
CHAPTER4、ホロスコープは無効~ヴォイド~(2)
引きこもりの永森が、エロ動画サイトを眺めながらゴロゴロしていると、不意にピンポーン、という呼び鈴が鳴った。慌ててエロ動画を消して起き上がり、インターホンを覗いてみると、見たことのあるオッサンが立っていたので、半纏はん ...
CHAPTER2、連れ去られたあかり(1)
場面変わって、北山あかりのそれからである。
新潟にある老人施設に入れられた祖母に、面会しに行った北山あかりは、施設の外にタクシーを待たせて祖母と会ったが、その変貌ぶりに愕然とした。最後に祖母に会った時は、まだ普通に歩い ...
CHAPTERⅠ、あっという間の再会(2)
その数時間前のこと――。
郷原の部下で、かつ、お守り役である元刑事の田代英明は、家の中で、今日、病院から帰ってきたばかりの母親と、息子の直人から、白い視線を浴びせられていた。
特に、田代の息子、直人の視線 ...