第二十一話 CHAPTER7、一夜(2)
「あのね、一人で飲むからそんな、アル中みたいになっちゃうんだよ。落ち込んでたり、辛いときはね、余計に一人で飲んじゃダメなの。ずぶずぶになって、そんな自分にまた嫌気が差して、それを忘れるためにまた飲んでって、繰り返しになっちゃうんだよ… ...
第二十話 CHAPTER7、一夜(1)
郷原悟と、北山あかりが、なんとなく同じベッドで眠っていた頃、都内某所にあるボクシングジムでは、一人の男がスパーリングの練習をしていた。
男の年齢は、かなり若そうで、青年といった感じであるが、顔色は冴えず、目の色は苦悩と ...
第十八話 CHAPTER6、対決(2)
池田がまだ厚生労働省で、法人担当課長をしていた頃――。
池田の上司だった官僚が、早期定年後に天下りとして時雨製薬の役員に就任した。その上司と池田は、かなり親密であったらしい。時雨製薬に上司が籍を移してからも、ちょくち ...
第十七話 CHAPTER6、対決(1)
ドアを出るとそこには、池田史郎が静かに座り、川嶋貢が、部下とともに待っていた。
「山本先生、助かったよ。とりあえず、これは切ってもらってあった手形だ。約束した通りの金額ぶんを返そう。あと、これは処置代30万だ。足がつくと ...
第十六話 CHAPTER5、突入(3)
その頃、新橋ダイヤモンドパレスホテルでは、川嶋がすでに待ち構えていた。田代から、郷原をどうにか回収したと報告を受けて、駆けつけてきたのである。本当は、久子も来ると言って聞かなかったのだが、まさか銃で撃たれているなどとても久子には言え ...