VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 

 朝になり、田代が郷原のホテルの部屋を訪ねてみると――。

「うわぁッ!! な、なんじゃこりゃあ!!」

 田代は、のけ反るほどに驚いた。郷原がブツブツと、幽霊みたいに何事かつぶやきながら、天体暦と ...

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 郷原は思わず刑事に掴みかかろうとしたが、田代がすかさず後ろから彼を取り押さえた。刑事は皮肉を込めて言った。

「ガールフレンドが誘拐されたのは、あなたが悪いのですよ郷原さん。最後の王朝だかなんだか知らないけ ...

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「鑑識結果が出たらしいぞ郷原。座ってくれ」と、川嶋が促し、ソファに刑事二人を通した。

 郷原と川嶋がその対面の上座へ座り、田代は少し離れた簡易椅子に腰かけた。刑事たちは挨拶もそこそこで、すぐに結果報告が始まった。

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 翌日、午後4時を過ぎて田代は、ようやく広尾の大使館で働いているという、江川夏実の過去を知る人物と会った。彼女はカリフォルニア大学ロサンゼルス校に、夏実と同じ頃留学し、夏実と同じ国際政治学部で学んでいたという。

 開口一番 ...

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 急に、携帯電話の呼び出し音だ。

 物思いに沈潜し過ぎていたせいか、郷原は、突然の携帯電話の着信に、大きくビクッとして、慌てて電話に出た。独自に事件の調査をしていた田代英明からであった。

 田代は今、永森のとこ ...