VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 

 北山あかりが、何者かに拉致された翌朝。

 田代英明は、川嶋に挨拶をして、郷原を見舞った後、独自に調査を開始した。

 まずは手始めに、朝早く警察時代の後輩に当たり、現時点で判明している捜査情報を ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「……どういうことですか夏実。女性を拉致するだなんて。私はそのような指示は出していません。ただ、郷原が間違いなく持っているはずの、不比等の金印を見つけ出し、ヤツに謎かけの招待状を渡せればそれでよかった」

 電話は、クリシュ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 やがて現場に到着した川嶋と郷原だったが、川嶋は真っ先に社長室に置いてある、会社の金庫を確認した。案の上、金庫が開けられていた。

「ダイヤルロック式だぞ?! なんで暗証番号がわかったんだッ!」

 川嶋は憤慨ふん ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 場面変わって、北山あかりのそれからである。

 新潟にある老人施設に入れられた祖母に、面会しに行った北山あかりは、施設の外にタクシーを待たせて祖母と会ったが、その変貌ぶりに愕然とした。最後に祖母に会った時は、まだ普通に歩い ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「もう嫌……。どこに行ったらいいの……? あたし……」 

 あかりがポケットに手を入れて、深いため息を吐き、歩き出そうとした次の瞬間。「げぇッ!! オエッ!!」と、誰かが吐いているような音が聞こえた。

(何?  ...