VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 首都高の高架が、六本木通りと平行に、どこまでも伸びていた。 

 東京メトロ “六本木駅” を降りて、麻布方向へとしばし歩く。

 騒がしい交通と、人いきれを渡り、六本木らしい煌びやかな通りから、やや奥

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 パァァァ……ン――!!!

 鼓膜が張り裂けそうなほどの銃声だった。たましいごと、粉々になりそうな爆発が、とたんに郷原をこの世ならざる空間にとどめていたドーパミンの分泌を、完全に止めた。

 4発目――。 ...

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 その翌日、占い賭博当日。

 数人の男たちが、赤坂シンフォニーホテルの広々としたロイヤルスィートルームに集まり、なにやら立ち働いていた。

 室内中央には、丸いシンプルな椅子と、その椅子と一体型になっている、小さ ...

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 賭博の取り決めの書類は、以下の通りであった。

 

誓約書

1、志垣智成(以下 甲)は、来る12月25日 港区六本木1-○○―××にて行われる 橋爪功治 対 原口信夫のボクシングハンデ戦に ...

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 志垣老人の、深刻で、独特な悩みというのは、こういった内容である。志垣智成は長年、信仰に生きてきた人間だ。修験道を学び、大日如来を本尊とあがめ、宗教を日々実践して生きてきた。その宗教的カリスマで人を動かし、いつの間にか全国に信徒を50 ...