VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 やがて現場に到着した川嶋と郷原だったが、川嶋は真っ先に社長室に置いてある、会社の金庫を確認した。案の上、金庫が開けられていた。

「ダイヤルロック式だぞ?! なんで暗証番号がわかったんだッ!」

 川嶋は憤慨ふん ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 場面変わって、北山あかりのそれからである。

 新潟にある老人施設に入れられた祖母に、面会しに行った北山あかりは、施設の外にタクシーを待たせて祖母と会ったが、その変貌ぶりに愕然とした。最後に祖母に会った時は、まだ普通に歩い ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「もう嫌……。どこに行ったらいいの……? あたし……」 

 あかりがポケットに手を入れて、深いため息を吐き、歩き出そうとした次の瞬間。「げぇッ!! オエッ!!」と、誰かが吐いているような音が聞こえた。

(何?  ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 年の移り変わりを華やかに盛り上げようと、デコレーションされた、賑やかな夕闇の街。

 この大東京は、孤独な地方出身者で溢れ返っている。だから、盆と暮れにはみんながふるさとへと帰っていって、妙に街は静かなのだが、それでも大晦 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 郷原は、夜のネオンの中を、ひたすら走った。赤坂から、六本木を目指して――。
六本木通りへと続く道は、今夜は渋滞している。タクシーを利用して、足止めを食っているうちに、取り返しのつかないことになったら――!!

 そ ...