VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「もう嫌……。どこに行ったらいいの……? あたし……」 

 あかりがポケットに手を入れて、深いため息を吐き、歩き出そうとした次の瞬間。「げぇッ!! オエッ!!」と、誰かが吐いているような音が聞こえた。

(何?  ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

(前作からの続き)

 長い長い、占い賭博が終わった。

 病院の暗い待合ロビーで今、人を一人、死に追い詰めた男……、郷原悟ごうはらさとるが、自分のせいでこんなことになった相手のために祈り、震えているのを見て、郷原 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 郷原は、夜のネオンの中を、ひたすら走った。赤坂から、六本木を目指して――。
六本木通りへと続く道は、今夜は渋滞している。タクシーを利用して、足止めを食っているうちに、取り返しのつかないことになったら――!!

 そ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 試合開始まで、残り25分――。

 赤坂シンフォニーホテルの最上階、1泊120万円の、ロイヤルスィートルーム。

 志垣智成はその部屋に置かれた、ゆったりしたソファで、ふんぞりかえってシェリーを飲んでいた。

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 首都高の高架が、六本木通りと平行に、どこまでも伸びていた。 

 東京メトロ “六本木駅” を降りて、麻布方向へとしばし歩く。

 騒がしい交通と、人いきれを渡り、六本木らしい煌びやかな通りから、やや奥