VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 パァァァ……ン――!!!

 鼓膜が張り裂けそうなほどの銃声だった。たましいごと、粉々になりそうな爆発が、とたんに郷原をこの世ならざる空間にとどめていたドーパミンの分泌を、完全に止めた。

 4発目――。 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

「では志垣会長、ライフル銃の時限発射装置のスタートボタンを、押してください」

 志垣は、浜崎に促されるまま、観覧用のソファに座り、時限発射装置のスタートボタンを押した。じりじりと、部屋の隅に置かれた水平移動装置の上のライフ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

「あのね、一人で飲むからそんな、アル中みたいになっちゃうんだよ。落ち込んでたり、辛いときはね、余計に一人で飲んじゃダメなの。ずぶずぶになって、そんな自分にまた嫌気が差して、それを忘れるためにまた飲んでって、繰り返しになっちゃうんだよ… ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

 郷原悟と、北山あかりが、なんとなく同じベッドで眠っていた頃、都内某所にあるボクシングジムでは、一人の男がスパーリングの練習をしていた。

 男の年齢は、かなり若そうで、青年といった感じであるが、顔色は冴えず、目の色は苦悩と ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者, 公開中の小説

  池田がまだ厚生労働省で、法人担当課長をしていた頃――。

 池田の上司だった官僚が、早期定年後に天下りとして時雨製薬の役員に就任した。その上司と池田は、かなり親密であったらしい。時雨製薬に上司が籍を移してからも、ちょくち ...