VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「……どういうことですか夏実。女性を拉致するだなんて。私はそのような指示は出していません。ただ、郷原が間違いなく持っているはずの、不比等の金印を見つけ出し、ヤツに謎かけの招待状を渡せればそれでよかった」

 電話は、クリシュ ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 その頃――。

 ちょうど地球の反対側、アメリカ・アリゾナ州。

 ソノラ砂漠にある巨大水素燃料実験場「ソノラシティ」では、日本国外務省科学技術企画部の上田部長が、行方不明になった部下、宮下広夢みやしたひろむの捜 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 やがて現場に到着した川嶋と郷原だったが、川嶋は真っ先に社長室に置いてある、会社の金庫を確認した。案の上、金庫が開けられていた。

「ダイヤルロック式だぞ?! なんで暗証番号がわかったんだッ!」

 川嶋は憤慨ふん ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 場面変わって、北山あかりのそれからである。

 新潟にある老人施設に入れられた祖母に、面会しに行った北山あかりは、施設の外にタクシーを待たせて祖母と会ったが、その変貌ぶりに愕然とした。最後に祖母に会った時は、まだ普通に歩い ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「もう嫌……。どこに行ったらいいの……? あたし……」 

 あかりがポケットに手を入れて、深いため息を吐き、歩き出そうとした次の瞬間。「げぇッ!! オエッ!!」と、誰かが吐いているような音が聞こえた。

(何?  ...