VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 あかりが、八溝山ふもとの街の病院で手術を受け、病室に寝かされたのは、12月31日の午前4時頃だった。

 医師の話では、あと2センチも傷が上だったら、腎臓が破裂して助からなかっただろう、という話であったが、幸いなことに腎臓 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 側で聞いていた英国人神父は、その話を聞いたとたん「Really?!」と言って、真顔で「それは本当か??」と、岸本に迫るから、岸本ははぁ……、と頷いて、少年刑務所で同じ部屋だった少年のことを話してやった。

 すると神父は興 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

郷原は、新橋ダイヤモンドパレスホテル近くの、土橋インターから首都高速道路に乗ると、西銀座ジャンクションから江戸橋ジャンクションを抜けて、首都高速6号向島線に入った。年末の30日だというのに、相変わらず首都高は渋滞気味でイライラした。一 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

 その頃、自分の住まい代わりにしているダイヤモンドパレスホテルに戻った郷原は、すぐに深夜勤務中のフロント係に言った。

「さ、さっきの俺の電話ッ!! あの電話に応答したフロント係は誰だっ!!」

 血相を変えた郷原 ...

VICE-ヴァイスー孤独な予言者 Ⅱ, 公開中の小説

「もう嫌……。どこに行ったらいいの……? あたし……」 

 あかりがポケットに手を入れて、深いため息を吐き、歩き出そうとした次の瞬間。「げぇッ!! オエッ!!」と、誰かが吐いているような音が聞こえた。

(何?  ...