CHAPTER7、逃走(2)
郷原は、新橋ダイヤモンドパレスホテル近くの、土橋インターから首都高速道路に乗ると、西銀座ジャンクションから江戸橋ジャンクションを抜けて、首都高速6号向島線に入った。年末の30日だというのに、相変わらず首都高は渋滞気味でイライラした。一 ...
CHAPTER6、黒い龍(3)
あかりは恐怖を感じて、思わず散らかった室内を後ずさり、物陰に隠れた。
人影はせわしなく鍵を開け、プレハブ小屋のサッシの入り口を開けると、懐中電灯で室内を見回した。
「おい、居るのか? 大丈夫か?!」 ...
CHAPTER6、黒い龍(2)
朝になり、田代が郷原のホテルの部屋を訪ねてみると――。
「うわぁッ!! な、なんじゃこりゃあ!!」
田代は、のけ反るほどに驚いた。郷原がブツブツと、幽霊みたいに何事かつぶやきながら、天体暦と ...
CHAPTER6、黒い龍(1)
もやのかかった砂浜――。霧にかすむ波間には、二つの大きな黒い岩……。しめ縄が巡らされている……。
郷原は、その砂浜にポツンと一人、立っていた。
誰もいない寂しい砂浜のはずなのに、強い視線を感じる……。ふと ...
CHAPTER5、実行犯・江川夏実と岸本正巳(3)
郷原は思わず刑事に掴みかかろうとしたが、田代がすかさず後ろから彼を取り押さえた。刑事は皮肉を込めて言った。
「ガールフレンドが誘拐されたのは、あなたが悪いのですよ郷原さん。最後の王朝だかなんだか知らないけ ...